ドメインハックとは?

ドメインハック(domain hack)とは、TLD(トップレベルドメイン)とドメイン名を組み合わせて意味のある単語やフレーズを作るテクニックです。

特に短縮URLサービスやブランド用の短縮リンクによく使われます。

例えば、「del.icio.us」というURLは、「delicious」という単語を表現するために「.us」ドメインを活用した有名な例です。

「ハック」とありますが、悪い事ではありません。

ドメインハックの例

ドメインハックのURLには以下のようなものがあります。

名前 ドメインハック 備考
BTC Inc B.TC ビットコイン関連ビジネス
Flickr Flic.kr
Linktree Linktr.ee
Matt Ma.tt WordPressの創設者であるマット・マレンウェッグ氏
Pepsi Pep.si
Weather Planet weather-pla.net 日本の個人Vtuberユニット
ミライアカリ akari-mir.ai バーチャルYouTuberのミライアカリ

特殊なドメインハック

名前 ドメインハック 備考
Alphabet abc.xyz アルファベットの最初と最後の3文字

短縮URL

ドメインハックは正式なURLではなく、正式なURLにリダイレクトされる短縮URLとして利用されることも多いです。

完全なドメインハック

名前 URL 備考
Gizmodo Gizmo.do
Instagram Instagr.am かつては正式なURLでした
Kim Dotcom kim.com MEGAの創業者であるキム・ドットコム氏
KizunaAI kizuna.ai 活動再開を発表する動画へのリダイレクト
NPR N.PR
Politico Politi.co
Tacoe Ta.co Taco Bell(タコベル)
Time Ti.me
YouTube YouTu.be

不完全なドメインハック

名前 URL 備考
The Economist econ.st
Reuters Reut.rs
NYTimes(New York Times) nyti.ms
Square squ.re
TechCrunch tcrn.ch
Washington Post wapo.st

ドメイン名を完璧な文字列に変更した企業

自社サービスで利用するドメインは非常に重要です。

しかし、必ずしも最初からベストなドメインを用意できるわけではありません。時には無駄に長かったり、.comではなかったりと、妥協したドメインを利用する事も珍しくありません。

このページでは、有名企業やブランドが当初使っていた「妥協したドメイン」と、その後に入手し現在利用している「ベストなドメイン」を紹介します。

今では名立たる有名企業も、当初は完璧なドメインを入手できず妥協したり、今より野暮ったい名前でビジネスを始めた過去があったのです…

企業・ブランド 旧URL 新URL
Bluesky blueskyweb.xyz bsky.social
Clubhouse JoinClubhouse.com Clubhouse.com
Discord DiscordApp.com Discord.com
Dropbox getDropbox.com Dropbox.com
Faraday Future FaradayFuture.com FF.com
Facebook TheFacebook.com Facebook.com
Instagram instagr.am Instagram.com
note note.mu note.com
Razer razerzone.com Razer.com
Tesla TeslaMotors.com Tesla.com
Threads Threads.net Threads.com
Twitter Twttr.com Twitter.com
X Development LLC WeSolveForX.com X.company
参考

【ドメイン】.net

.comに次ぐ人気と知名度を誇る世界的なドメインです。

ドメイン .net
意味 ネットワーク(Network)
用途 ネットワークに関するウェブサイト
種類 gTLD
登場 1985年
管理団体 Verisign
公式サイト Your Dot Net

元々はネットワークに関するウェブサイトを想定して登場しましたが、登録の制限が特にないため、ネットワークに限らず様々な用途のウェブサイトで利用されています。

.comが入手できない場合に、代わりのURLとして利用するケースもあります。

関連記事:1文字の.netは世界に2つだけ

使用例

.netドメインを使用したウェブサイトには以下のようなサイトがあります。

1文字の.netは世界に2つだけ

英語アルファベットは26種類(A~Z)ありますが、1文字の.netドメインはわずか2つしかありません。

.netに登録できる文字は3文字以上となっている為、今後も1文字の.netが登場する可能性は低いです。

ドメイン 使い道 所有者
I.net 販売中
Q.net 販売中

【ドメイン】.com

ドメイン .com
意味 商業の~(Commercial)
用途 商業向けウェブサイト
種類 gTLD
登場 1985年
管理団体 Verisign
公式サイト Your Dot Com

「.com」は全世界のドメインシェアでおよそ50%を占めている大人気のドメインです。

元々は商用のウェブサイトを想定して登場しましたが、登録の制限が特にないため、商用に限らず様々な用途のウェブサイトで利用されています。

価格が手頃で、個人や新興企業でも手軽に取得・維持できるのも魅力です。

使用例

.comドメインを使用したウェブサイトは非常に多いです。世界で最も普及しているドメインですから、みなさんも見た事は何度もあるでしょう。

.comを使用した有名なウェブサイトには以下のようなサイトがあります。

Googleは各地域ごとに、ccTLDを利用したドメインを用意していました(日本ならgoogle.co.jp、メキシコならgoogle.com.mxといった具合)。

しかし、2025年から全てのドメインをgoogle.comリダイレクトするそうです

また、Twitterからリブランドされた「X」のドメインであるx.comは、世界に3つしかない非常に貴重な1文字の.comドメインです。

関連記事:1文字の.comは世界に3つだけ

1文字の.coドメイン

アルファベットおよび数字1文字の.coドメインをまとめました。

アルファベット

AからZまで26種類です。全て登録されていますが、一部は使用されていません。

ドメイン 使い道
A.co Amazon.comの短縮URL
B.co BESTSELLERへのリダイレクト
C.co Commande.comへのリダイレクト
D.co 未使用
E.co 未使用
F.co GoDaddyで販売中
G.co Google公式の短縮URLです。g.coが使用されているURLは、必ずGoogleの製品またはサービスになります。
H.co 未使用
I.co 未使用
J.co 販売中
K.co 未使用
L.co 販売中
M.co 未使用
N.co 販売中
O.co Overstock.comへのリダイレクト
P.co 販売中
Q.co 未使用
R.co 販売中
S.co Snapchatへのリダイレクト
T.co Twitter(現X)で利用されている短縮URL
U.co 未使用
V.co 販売中
W.co 販売中
X.co 販売中
Y.co The Yacht Companyのウェブサイト
Z.co 未使用

数字

数字1文字ドメインです。0~9までの10種類で、全て同一のページが表示されます。

ドメイン 使い道
0.co 未使用
1.co GoDaddyで販売中
2.co GoDaddyで販売中
3.co GoDaddyで販売中
4.co GoDaddyで販売中
5.co GoDaddyで販売中
6.co GoDaddyで販売中
7.co GoDaddyで販売中
8.co 未使用
9.co GoDaddyで販売中

1文字の.aiドメイン

アルファベットおよび数字1文字の.aiドメインをまとめました。

アルファベット

AからZまで26種類です。全て登録されていますが、一部は使用されていません。

.aiはカリブ海の小さな国であるアンギラのドメインですが、その文字列からやはりAI(人工知能)に関連するウェブサイトが多いですね。

ドメイン 使い道
A.ai hack.chatへのリダイレクト
B.ai Dn.comで販売中
C.ai character.aiへのリダイレクト
D.ai Daimler AGへのリダイレクト
E.ai SNS、メッセンジャー、決済機能を備えたアプリ「E」のウェブサイト
F.ai 販売中
G.ai Google AIへのリダイレクト
H.ai アプリ「Hai」のウェブサイト
I.ai I.AIのウェブサイト。詳細不明。
J.ai 販売中
K.ai 販売中
L.ai 未使用
M.ai 販売中
N.ai 販売中
O.ai OAIのウェブサイト
P.ai Programmaiへのリダイレクト
Q.ai Qのウェブサイト
R.ai Meet R/AIのウェブサイト
S.ai Sai氏のウェブサイト
T.ai 未使用
U.ai 未使用
V.ai 未使用
W.ai Global AI Supercomputer
X.ai Grokを開発する「xAI」のウェブサイト
Y.ai Dn.comで販売中
Z.ai チャット型生成AI「Z Chat」のURL

数字

数字1文字ドメインです。0~9までの10種類で、全て同一のページが表示されます。

ドメイン 使い道
0.ai 未使用
1.ai 未使用
2.ai 未使用
3.ai 未使用
4.ai 未使用
5.ai 未使用
6.ai 未使用
7.ai 未使用
8.ai 未使用
9.ai 未使用

【ドメイン】.lgbt

ドメイン .lgbt
意味 LGBT
用途 LGBTに関するウェブサイトなど
登場 2015年
管理団体 Identity Digital

.lgbtは2015年2月より利用が開始された新興ドメインです。

lgbtは、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)を表しています。

LGBTコミュニティやLGBT向けサービスのウェブサイトにオススメです。

ドメインの取得

.lgbtを取得するにあたって、特別な制限はありません。個人でも法人でも無条件で何個でも取得可能です。

.lgbtの取得・更新にかかる料金は、ドメイン取得サービスのゴンベエドメインでは以下のようになっています

  • 登録料金:19,580円(税込)
  • 更新料金:19,580円(税込)

.comや.netが1,000円~2,000円ほどで取得できる事を考えると、ちょっと高いですね。気軽には取得しづらいかも…

ドメイン取得は絶対に信頼できるサービスを使うべき理由

ドメイン登録業者(ドメインを取得するためのサービス)は日本のサービスだけでもムームードメイン、バリュードメイン、お名前.comなど、たくさんのサービスがあります。

どのサービスで取得しても大きな違いはありませんが、実績ある信頼できるサービスを選ぶことが重要です。

ドメインはウェブサイトを支える根幹です。もしレンタルサーバーに問題があっても、ドメインが無事ならデータを別のサーバーに移行してしまえば問題なくウェブサイトを維持する事ができます。

しかし、ドメインにトラブルがあった場合、ウェブサイトの表示自体が不可能になってしまいます。

趣味のウェブサイトならまだしも、自身のビジネスに利用している場合には、大惨事になりかねません。

ドメイン取得サービスのトラブル例

ドメイン登録業者のトラブルはそんなにあるのか?

決して多い訳ではありませんが、とはいえゼロではありません。

例えば、2018年には、サービスがあまりにもいい加減であったため、利用していたドメインが正常に機能しなくなってしまったというレポートが海外で公開されています。

エンジニアのTomislav Lombarovicさんは、「uptimechecker.io」というドメインの名前解決が不安定になっていることに気付きました。ドメインが停止されてしまうと、Uptimechecker.ioが提供している監視・通知サービスも停止してしまうため、uptimecheckerだけではなくユーザーの活動にも支障が出てしまいます。

(中略)

「uptimechecker.io」のDNSサーバーの設定がなぜかデフォルト値になってしまっていることに気がつきました。これは「Uptimechecker.ioのシステムが完全にダウンしている状態になってしまっていた」ということを意味します。
Lombarovicさんは「このままではユーザーがサービスにアクセスできない。緊急を要している」と再度サポートに連絡を行いました。そして待つこと8時間後、ようやくサポートから回答が届いたとのこと。しかし、その内容は「ご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます。24~48時間以内にスペシャリストから送られる指示に従ってください」という、ユーザーのサービスがドメイン停止でダウンしていることに全く危機感を覚えていないような文面だったとのこと。

出典:怠慢なレジストラのせいでドメインが停止してウェブサービスがダウンしてしまったという驚きの報告 – GIGAZINE

超大手であるGoogleでもトラブルが発生

2015年に開始されたGoogleのドメイン登録サービス「Google Domains」は、利用者のウェブサイトに問題のあるコンテンツがあった事を理由に、事前の通知なく利用者のドメインを凍結しました。

ドメイン管理をGoogle DomainsからCloudflare Registrarに移行するそうです。通知なくドメインを突然凍結し、悪意のあるコンテンツを事前に把握していたはずなのに報告もしてくれず、悪意のあるコンテンツを1つでも検出すればすぐにドメイン全体をブロックしてしまうのが理由だと語られています。

出典:Googleにドメインをブロックされたウェブサービスが「Cloudflareに乗り換える」と恨み節 – GIGAZINE

また、さらに間抜けな事に、Google Domainsは自社のサービスであるGoogleのドメイン・Google.comをバグで失いかけています。

Googleのあらゆるサービスに使われているドメイン「google.com」が、Googleのドメイン登録サービスGoogle Domainsを経由して一般人に取得されてしまうという出来事が発生しました。

出典:「google.com」をわずか1分で占領することに成功してしまった男 – GIGAZINE

そんなGoogle Domainsは、登場から8年後の2023年に他社へ売却されました

他社(Squarespace)に移管されるだけなので、ドメインが使えなくなるわけではありませんが、これまで使用していたサービスではなくなってしまうのは確かです。

日本でもドメイン登録業者のトラブルは存在する

ドメイン登録業者のトラブルは日本でも起こっています。

日本では2014年にVALUE DOMAINで障害が発生しました。

GMOデジロック株式会社が運営するドメイン名登録代行サービス「VALUE DOMAIN(バリュードメイン)」で22日、提供しているネームサーバーへの攻撃により、一部利用者のドメイン名について名前の解決ができないなどの障害が発生した。

出典:VALUE DOMAINのネームサーバーに障害、通常の50倍程度の攻撃で応答困難に -INTERNET Watch Watch

こうしたトラブルや仕様変更はそう起こるものではありません。

しかし、無名のサービスや海外のサービス、サポートが充実していないサービスだと、いざトラブルが起こった際に対応などができず困ってしまいます。

Googleの例を見ても分かる通り、大手なら安心という訳でもありませんが、有名で実績あるサービスなら、トラブル時にも誠実な対応を期待できるでしょう。

1つ言える事は、価格や広告の印象、ネームバリューで安易にドメイン登録業者を選んではいけないという事です。

例えばGoogle Domainsは超大手企業であるGoogleが運営しているサービスでしたが、事前連絡なしのドメイン凍結や急なサービス終了(他社への移行)が起こりました。

まとめ

ドメイン取得業者のトラブルにより、ウェブサイトやサービスが利用できなくなってしまうというトラブルは、決して多くはありませんが、ゼロではありません。

また、業者に問題は無くても、自身のミスでトラブルが起こってしまう可能性もあります。

ドメインにトラブルが起こると、自身のウェブサイトやサービスが使用できなくなり、大きなトラブルに繋がります。

なので、ドメインを取得する際は、実績があり、使いやすい(操作ミスが起こりにくい)サービスを利用しましょう。

【ドメイン】.blog

ドメイン「.blog」とは、2016年に登場したトップレベルドメイン(TLD)です。

ドメイン .blog
意味 Blog(ブログ)
用途 ブログ
種類 gTLD
登場 2016年
管理団体 Knock Knock WHOIS There, LLC
公式サイト Knock Knock WHOIS There

特徴

.blogドメインは、名前の通りブログで使用されることを想定したジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)です。

2016年11月21日に一般登録の受付が開始されました(それ以前から、商標を持っている方など向けに先行登録の機会がありました)。

WordPress.comを運営するAutomatticが子会社のKnock Knock WHOIS There, LLCを通じてレジストリを担っています

使用例

.blogドメインを使用したウェブサイトには以下のようなサイトがあります。

また、Appleは「apple.blog」を、Amazonは「amazon.blog」所有しており、アクセスするとそれぞれプレスリリース等を掲載しているニュースリリースのページにリダイレクトされます。

他、.blogドメインを採用しているウェブサイトは以下のページでチェックする事が可能です。

ドメインの取得

.blogには特別な制限がないので、個人でも法人でも無条件で何個でも取得可能です。

他のドメインと同様、取得は早い者勝ちなので、気になるドメイン名や文字列がある方は早めに登録し、抑えておきましょう。

料金はドメイン取得サービスのXserverドメインでは以下のようになっています。

  • 登録:480円(1個目は1円)
  • 更新:3,820円
  • 移管:3,820円

価格は全て税込で、1年更新です。.comや.netと比べるとちょっと高いですね…